弱者の戦略

 大きな魚と小さい魚が一匹同士で戦ったら小さい魚は捕食されます
そして種族として最後の一匹ならば絶滅してしまいます。
捕食され絶滅するのを回避する為に
魚の場合は群れを作り、簡単なアルゴリズムに従って
個々の動きを制御する事で1個体の捕食の可能性を低くする
戦略をとるようになりました。こうした個体の単純な動きが
群れ全体の行動に影響する振る舞いを群知能といいまして
人工知能のひとつの研究分野になっています。
個体が単純な動きしか出来ない生物は群れる戦略をとって
身を守ろうとしたわけですが、人間はもう少し性能の良い
情報処理器官を進化させました。
ある教科書に載っていた研究者の言葉は
脳は進化による芸術作品という感じに表現していました。
全くもってその通りですね。

 木から降りた人間は自然界の中では弱者よりに位置していました。
人類が二足歩行を始めた頃の頭蓋骨の化石には肉食動物に捕食された
証拠である2つの穴があいています、
牙を持つ肉食獣に仕留められたのでしょう。
この頃は人間はまだ食物連鎖の中で
捕食される存在としての席を持っていました。
人間が取った戦略は二足歩行で失った木の上での
生活の利点を補う為のものでした、
重い頭を支える事が可能になった人間は
他の生物より多くの情報を記憶出来、
社会という集団生活で利益を拡大する為の行動を
取捨選択出来る学習マシンを搭載したのです。
しかもこのマシンは細胞レベルでは性質が子供に引き継がれます。
こうして人間の脳はどんどん高性能化を遂げました。
人間が地球上で最も繁栄した理由は現代の人間に搭載されている脳を
発展させた事が理由と言ってよいでしょう。

 さて、社会や産業がシステム化されて食料が安定供給される事で生存が
長期間保証される枠組みが出来上がると人間は
生存や子孫を残す目的を達するために
利得の高い他の個体の振る舞いをまね始めました。
社会的な教育はこうして生まれ遺伝子より効率よく
情報を伝え、有利な情報や行動を取捨選択していく仕組みを作り上げました。
文化や文字など、こうしたソフト的な自然淘汰ミームとして
学説が唱えられ、
Metal gear solidみたいなゲーム作品のテーマにもなるくらい
の知名度を獲得しています。

 現代の人間社会の文化様式はそもそも物理的に不利な条件にある生物が
ソフト的に有利な条件で生きようとしたから生まれ、発展してきたものです。
この傾向はマクロ的に今後も続き、ソフト面の発展は弱者が
社会の既得権益や権力者と戦う為の武器となると思っています。
昔はペンは剣よりも強しでしたが、現代では
コンピューター(とネットワーク)は銃器に勝るのです。
多数決の社会においてニッチな産業や少数派の
考えや意見を大規模に配布出来る手段を
与えてくれているからです。

 何故突然こんな記事を書いたのかといいますと
ちきりん女史が以前書いた記事を読みましてね
http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20080223

先進国の進んでいる方向は以前より更に多数決社会で少数派の弱者が強者に
這い上がりやすい社会を生み出していくのだろうと思ったんです。

資本主義が最も価値を生み出すのはニッチな物が多数のプレイヤーに対して
分配されていく過程にあるそうです。
大勢のグループより数人のグループしか持ってない物を
世界中の人にひとつ持たせれば大きな利益が出るというのは分かります。
ITに関連する分野では弱者が最良の戦略を用いる事が容易になっています。
また、先進医療を研究、開発する人々が多い先進国では
その医療の恩恵を受けられる機会が多いでしょう。
平たくいうと普通の人の手より性能の良い筋電義手や、
外骨格を身につけられる機会が得られるわけです。

人間が弱者の戦略から成長させた脳、そこから生まれる開発能力や技術は
やはり弱者向きの戦略を提供してくれるんです。
マイノリティーの存在が許されない、モノカルチャーな文化の国は
このミームの競争(技術の革新)から
脱落していかざるを得ないのではないでしょうか
いつも道を最初に切り開くのは変人かニッチな人なのは
多数派に広まる前の少数派の持ち物を多数派から観察するからなんでしょう。

中国はがちゃがちゃになり血まみれになりつつも漢民族が主体となった
人の入り交じった国で米国はいわずもがなです。
技術の結晶はこの2国が関わって創造していくでしょう
(中国は政府が圧迫するから、民主化したらすごいんだろうけど
 モノカルチャー強制な分やはりアメリカが開発は先んずるかな
 製造は中国が多いけど)
ちきりんさんのアメリカ生活に書いてた事について
もうちょっと付け足したいので
次の機会に書きましょう